借地権と底地の評価基準に基づく価格決定方法
不動産鑑定評価基準によると、借地権の評価は、借地権取引の慣行が成熟した地域では、次の4つの手法を組み合わせて価格が決定されます。
1. 比準価格
借地権や借地権が含まれる複合不動産の取引事例に基づく比準価格。
2. 収益価格
土地残余法によって得られる収益価格。これは土地がどれほどの利益を生むかに基づいて算定されます。
3. 賃料差額の還元
借地権の設定契約に基づく賃料の差額から、取引対象となっている部分を還元して得た価格。
4. 借地権割合
その地域の借地権割合に基づいて求められる価格。この手法は、借地権取引において特に簡略的な評価方法とされています。
裁判上の取扱い
旧法や普通借地権において、裁判での取扱いは主に上記4の手法を基準としています。
相続税の路線価に基づき、借地権割合を更地価格に乗じて借地権価格が決定されることが一般的です。
この評価方法は、不動産鑑定士や国税局長が地域ごとの借地事情を反映し、適正な借地権割合を算定するため、公示価格の約80%を基準にしています。
底地の評価方法とその問題点
一方で、底地の価格を評価する際、不動産鑑定評価基準では次の2つの手法が使用されます。
1. 収益価格
底地から得られる純収益の現在価値の総和を求める手法です。賃貸収入から諸経費を差し引いた収益の現在価値が底地価格を決定します。
2. 比準価格
底地の取引事例に基づいて得られる比準価格です。この価格は、実際の取引データに基づき、市場における底地の価値を反映しています。
しかし、裁判での取扱いにおいては、「底地の価格=更地としての価額×底地割合」という、非常に単純化された手法が用いられています。これは、実際の底地の価値を正確に反映しておらず、経済的合理性に欠けると指摘されています。
「更地」と「底地」の評価の違い
「底地の価格=更地としての価額×底地割合」という考え方では、底地が借地権の付着していない状態、つまり更地としての価値に基づいて評価されます。
しかし、借地権が存在する場合、その土地は更地として自由に利用できないため、この評価方法では不合理です。
底地の価格は、実際の収益や借地権の契約内容に基づいて評価されるべきであり、更地としての価値を前提にした価格設定では市場の実態にそぐわない可能性があります。
参考:底地、借地権価格の評価方法 | URUHOME(ウルホーム)byドリームプランニング
適正な底地の評価方法
底地の評価を適正に行うためには、その地域の標準的な底地割合を参考にしつつ、借地契約の内容や経緯、契約期間など、個別の事情を十分に考慮する必要があります。
一律の割合で評価することは避け、市場の実態に即した柔軟なアプローチが求められます。
結論として、「底地の価格=更地としての価額×底地割合」という方法は、不動産市場の現実や経済的合理性を十分に反映しておらず、個別の事情に応じた評価が不可欠です。